TranscendのUSBメモリーですが、データが読めないということで修理のご依頼です。
まずは、顕微鏡で回路を確認しますが、ハンダ不良やチップの損傷は見られません。
続いてテスターで不良箇所を探しますが、異常が無い状況です。
パソコンに接続して、認識するのか確認してみると・・・
デバイスを認識していますが、上記の画像の状況ですと、コントローラICまでしか認識されていない様子です。
Gドライブとしてマウントされましたが、開こうとするとエクスプローラーがフリーズします。
コントローラーのICは、海外製のUSBメモリーに比較的多く採用されている、ALCOR MICRO社製のAU6982チップが搭載されています。
今回のUSBメモリーには、フラッシュメモリーICが1枚搭載されていて、SAMSUNG社製K9G8G08U0Mチップが搭載されていました。
メモリーチップの取り外し作業に取り掛かります。まずは、端子を傷めないようにあらかじめハンダめっきをしておきます。
350度に熱したフラッシュメモリー専用の半田ごてでICを取り外します。温める時間はだいたい10秒程度。フラッシュメモリーICは、500度の熱に耐えられる設計ですので、多少の熱では壊れません。
取り外した後は、ICの端子に付いている半田を綺麗に除去して、さらに端子を磨いて接触不良にならないようにクリーニングをしておきます。
データリカバリーツールPC-3000高度解析装置に装着し、専用の高度解析ソフトを起動させます。
メモリーICの個数、コントローラーICの型番を入力して、解析作業の開始です。
メモリーチップのチップID、データ領域をパソコンに読み込みます。
最初は、チップIDの読み取りが出来なかったのですが、タイミングやクロックを調整してIDの読み取りに成功です。
続いて、データ領域をパソコンに読み出します。
少々時間がかかりましたが、全てのデータが読み出せました。
しかし、問題はここからです。
コントローラICの情報を基に、読み出したデータを通常のファイル形式に復元しなくてはいけません。
データを読み込んだだけでは、単なる文字列としてしか見られないのです。
しばしの解析作業を終えて、データが復元されました。
今回は、ハンダ修理では直らなかったため、お見積金額が変わります。すぐさま、お客様へお見積とデータの復元の可能性についてご連絡です。
解析作業の際にエラーが記録されなかったので、データに関しては破損が無いようです。
お客様から、修理続行のご了解をいただいたので、データを全て復元し、代替のUSBメモリーへ移動してご返却です。
お客様のデータにはアクセスしたくないのですが、念のためにワードのファイルを1個だけ開けるか確認いたしました。
代金のお支払いは、コンビニ払いの払い込み票を同封致しますので、データが問題ないことをご確認いただいてからのお支払となります。
弊社のUSBメモリーデータ復旧では、ほとんどのケースがハンダ修理で16,800円以下となっておりますが、USBメモリーに曲がりや折れの不良が無いケースで50本に2~3本の割合で重度物理障害があり、PC-3000高度解析装置の出番になっています。